キャリアアップ、労働環境改善、年収アップなど、さまざまな理由で現在の仕事を辞めて新しい職場を探そうとしている方がいるでしょう。

新しい仕事・職場に目を向けることは大切なことですが、現在の職場を円満に離れることもまた重要なことです。
そこで、ここでは退職時に提出する「退職届」「退職願」に関してご説明します。



自己都合退職とは?会社都合退職とは何が違う?

自己都合退職とは、結婚や妊娠・出産、介護、病気療養など個人的な理由で勤務先を退職することです。
これに対して、会社都合退職とは経営不振や倒産を理由として一方的に労働契約を解約されることです。

労働者が早期退職制度を活用して退職する場合には、会社都合退職として退職金の優遇措置が適用されるのが一般的です。
なお、会社から一方的に労働契約を解約される場合であっても、労働者が何らかのミスをして解雇された場合には、自己都合退職として扱われる場合があります。

  • 自己都合退職と会社都合退職の違いは失業保険に関する取扱いです。

会社都合退職の場合は失業保険を1週間ほどで受け取れることに対して、自己都合退職では退職金の給付を受けるまでに最長3か月ほど待たなければなりません(雇用保険法33条1項)。



また、会社都合退職であれば満額の退職金を支給してもらえますが、自己都合退職では勤務期間に応じて退職金の支給額が減額されてしまいます。
加えて、失業手当の受給期間も異なり、会社都合退職であれば最長330日であるのに対して、自己都合退職の場合は半分以下の150日です。

このように自己都合退職と違い、会社都合退職の方が労働者を保護しているといえるでしょう。

勤務先から「自己都合退職で……」と言われても同意する必要はありません。
もし無理に退職させられても、労働実態が採用条件と異なっていた場合や賃金の未払いがあった場合には会社都合退職として処理できる可能性があるので、ハローワークで相談してください。

退職届、退職願、辞表の違いは何?なぜ提出する必要がある?

ニート 三女ニート 三女

会社を辞める時なんて、ただ口頭で「辞めます!」じゃダメなの?
私が昔アルバイトしてた時は、それで通ったけどなぁ。

派遣 次男派遣 次男

僕もずっと派遣だけど、派遣先に退職届とか出したことがないなぁ。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

それはそのはずね。
退職届や退職願は、基本的に正社員として働いている人が会社に提出する必要があるもので、アルバイトや派遣社員の場合は提出する必要はないわ。

アルバイトの場合は口頭で伝えればOKだけど、アルバイト先によっては退職届の提出を求められることがあるから、確認が必要ね。
派遣については、そもそも労働契約を結んでいるのは派遣先ではなく派遣会社とであるため、派遣先への退職届の提出は不要です!

派遣 次男派遣 次男

なるほど。
それじゃあ、その退職届や退職願の違いって何なのかな?

転職の女神 長女 転職の女神 長女

退職時に勤務先に提出する書類は、「退職届」「退職願」「辞表」と呼ばれているけど、これらの違いは名称だけではないの。
状況に応じて提出すべき書類が異なっているため、しっかりと把握する必要があるわね。

ちなみにいずれの書類も自己都合退職のときに提出するもので、会社都合退職のときには会社から「解雇通知」等が送付され、労働者から提出するものはありません。

  • まず退職届とは、基本的に退職がある程度具体的に決まっている場合に、「確実に退職します」との意思を表明するために提出する書類です。

あくまで“届”なので、会社はそれを受理するほかありません。

  • これに対して退職願は、勤務先に対して「退職させてください」と雇用契約終了の同意を求めるための書類です。

会社は雇用契約を終わらせるか判断することができますので、期間の定めのある雇用契約では労働者を説得して引き続き働かせることもあります。

ただし、就業規則などに別段の定めがある場合を除いて、雇用期間の定めのない契約は労働者が退職を申し出た後2週間を過ぎると、会社の同意がなくても、退職の効力が生じます(民法627条)。
このため、多くの会社は退職届・退職願の名称に特にこだわることなく、労働者から退職の意思を表明された場合には、その意思を尊重する傾向にあります。

  • 一方、辞表は退職願と同様に「その職を辞めさせてください」と辞意を表明するための書類です。

もっとも、辞表は取締役などの会社役員や公務員が提出するものなので、一般的な会社員であれば辞表を提出する必要はありません。

退職願を出すタイミングや期日は?誰に渡す?

円満に退職するために退職願・退職届を提出する適切なタイミングを把握しておきたいところですよね。
基本的に退職願・退職届を提出するのは人事課ではなく直属の上司です(就業規則で定めのある場合を除く)。

上司はその部署について責任のある立場なので、もし部下が退職の意思を固めているのに知らされていなければ、面目丸つぶれとなってしまいます。
去り際に上司の立場を危うくしてしまわないように、退職願は上司に提出しましょう。



多くの会社では1人1人の労働者が貴重な人材で、勤務してくれることを前提に業務を請け負っています。
このため、「明日辞めます」と退職願を提出しても、窮地に追い込まれてしまう会社は退職に同意してくれないでしょう。

そこで、会社が引継ぎの準備を進められるように実際に退職する予定日の約1、2か月前に提出しておくことが求められます。
確かに民法上、期間の定めのない雇用契約では2週間前に提出すればよいこととされていますが、就業規則で例外を設けている企業もありますので、注意が必要です。

2週間の猶予さえ会社に与えずに退職し、会社に損害を負わせた場合には、損害賠償を請求される可能性があります。

一度出した退職願は取り消し出来る?撤回出来る?

いったん退職願を提出したものの、労働条件が改善されるなどして、引き続き勤務したいと考えることもあるでしょう。
テレビドラマでは頭に血の上った社員の退職願を上司が人事課に提出せずに預かっていて、問題などが解決した後にその社員に返すシーンを目にすることもありますよね。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

現実でもこのようなことは起こりうるのかもしれませんが、実際には会社と労働者で労働契約を解約する合意が成立してしまうと撤回は難しいでしょう。
退職届を撤回したいならば合意が成立してしまう前、つまり上司から人事課、経営者に手渡される前に「引き続き勤務したい」との意思を伝える必要があります。

厳密にいえば、話し合いを求める意味合いの強い「退職願」であれば、確定的に退職の意思を表明する「退職届」を提出した場合よりも、撤回できる可能性は高まります。

ただし、いずれにしても会社が同意すれば撤回できませんので、早め早めの行動が大切です。
仮に会社と労働者で合意が成立していたとしても、脅されて退職届を書かされたような場合には合意を取り消せる可能性があるので、特別な事情がある場合には弁護士などの専門家に相談してください。

退職願を上司が受け取ってくれない場合の対処法

退職届を受け取ってもらえない理由にもよりますが、まずは上司の説得を試みましょう。
ひょっとすると「辞めたい」という意思がきちんと伝わっていないために、上司は退職願の受領を拒否しているのかもしれません。

交渉にあたって口頭で話し合いをすると、後々言った・言っていないの水掛け論になりますので、メールなど証拠の残る方法を実践しましょう。
話し合いによる場合には会話を録音しておき、証拠化するのがオススメです。



上司のさらに上司や人事課も巻き込んで説得するのも1つの手です。
逆に上司に自分が説得されて、もう少し働く気になることもあるでしょう。
それは退職の意思が固まっていないことを示していますので、再び退職するか否かを真剣に考えてみると良いでしょう。

もし説得が功を奏さないようであれば、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
万一、強硬に退職する必要があるならば、内容証明郵便で会社宛てに退職願を提出すれば、退職願が到着した日の2週間後に退職することができます。

就業規則の定めによっては退職までに2週間以上必要なこともありますが、永久に退職できないわけではありません。

こちら仕事を辞めたいけど会社(上司)に言えない・言い出せない時の対処法と改善策!まずは行動してみよう!も参考にどうぞ。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

自己都合退職であれ、会社都合退職であれ、「立つ鳥跡を濁さず」との言葉に示されているように、お世話になった会社でトラブルを起こさないようにちんと対処方法を学んでおいて、実践したいところです。

お世話になった会社とはいえ、退職するのは正当な選択肢なので、自分の意志を大切にしてください!