キャリアアップや年収アップ、人間関係、労働環境の改善など、さまざまな理由で現在の仕事を辞めて新しい職場に転職しようとしている人がいます。

新しい職場が決まっている人も、まだ次の転職先が決まっていない人も、気持ちを切り替えて早く新たなスタートを切りたい気持ちもわかりますが、やはり後々トラブルになったり嫌な思いをすることのないようにするためには、円満な退職ができるよう、社会人として最低限のビジネスマナーはわきまえておかなければなりません。

特に「退職届」や「退職願」、「辞表」については、自分が実際に経験しなければわからないことも多い反面、退職すること自体そう何度も経験することではないことから、書き方や選び方、渡し方など、右も左もわからない!!という人も多いと思います。

そこで退職届、退職願、辞表のそれぞれの違い、自分のためにも現在勤めている会社のためにもビジネスマナーを守った正しい書き方や選び方、提出方法や提出のタイミングなどについて詳しく解説していきたいと思います。



”退職”と言ってもいろいろある「自己都合退職」や「会社都合退職」

転職の女神 長女 転職の女神 長女

「退職」と一言で言っても、「自己都合退職」、「会社都合退職」、「希望退職」、「退職勧奨」など実がいろいろな種類があります。

まずはこれらの違いについて知っておきましょう。

(1)自己都合退職

自己都合退職とは、結婚や妊娠・出産、介護、病気療養など、個人的な理由で自分が希望して勤務先を退職することです。

一般的に、「仕事内容が合わない」とか「人間関係に疲れた」、「給料が少ないので嫌だ」など、自分が希望する勤務条件の職場へ転職するために退職する場合も、この自己都合退職になります。

自分の都合で会社を辞めるので、退職理由としては「一身上の都合により」で問題ないですが、自己都合退職の場合は失業給付金の支給は最低でも約3ヶ月の待機期間があり、失業給付金の支給日数も90日から150日、失業給付金最大支給額は約118万円などのデメリットがあります。

ただ、失業給付金に関しては自己都合退職でも、医師の判断で退職した方が良いとアドバイスされていた場合など、「特定理由離職者」に該当すれば給付制限が免除されるケースなどもあります。

(2)会社都合退職

これに対して、会社都合退職とは経営不振や倒産を理由として、会社側に一方的に労働契約を解約されることです。

労働者が早期退職制度を活用して退職する場合には、会社都合退職として退職金の優遇措置が適用されるのが一般的です。

なお、会社から一方的に労働契約を解約される場合であっても、労働者が何らかのミスをして懲戒処分などで解雇された場合には、自己都合退職として扱われます。

会社都合退職であれば満額の退職金を支給してもらえますが、自己都合退職では勤務期間に応じて退職金の支給額が減額されてしまいます。

希望退職や退職勧奨なども、この会社都合退職になります。

会社都合退職の場合は失業給付金の支給開始は最短で7日後、失業給付金支給日数は90日から330日、失業給付金最大支給額は約260万円など、自己都合退職との違いがあります。

  • つまり、自己都合退職と会社都合退職の違いは、失業保険に関する取扱いです。

ここまで解説した通り、会社都合退職の場合は失業保険を1週間ほどで受け取れることに対して、自己都合退職では退職金の給付を受けるまでに最長3か月ほど待たなければならないなどの違いです。(雇用保険法33条1項)。



このようなことから、もちろん労働者にとっては自己都合退職よりも会社都合退職のほうが優遇されていることとなり、もし仮に勤務先から「自己都合退職で……」と言われても同意する必要はありません。

もし無理に退職させられても、労働実態が採用条件と異なっていた場合や賃金の未払いがあった場合には会社都合退職として処理できる可能性があるので、ハローワークで相談しましょう。

(3)希望退職

希望退職とは、企業の業績悪化によって人員削減などで、退職金や再就職先の斡旋などを条件に退職してくれる社員を募集するもので、自分で希望して退職するものです。

(4)退職勧奨

事業主から労働契約解除の申し入れのことで、労働者に対して自発的な退職をすすめるもので、「肩たたき」などと呼ばれるものです。

ですが強制ではないので、申し入れがあったからと言って必ず応じなければならないわけではないので注意しましょう。

退職届や退職願を用意する前にするべきこと

退職届や退職願を準備する前に、やっておいてもらいたいことがあります。

(1)本当に辞めたいのかを最終確認する

何かどうしても許せないことが起きたり、上司や経営陣と口喧嘩になってしまったりなど、その場の衝動的な感情だけで「こんな会社辞めてやる!」となってしまってはいないでしょうか?

感情的になって退職を決意するのも気持ちはわかりますが、そういう怒りにまかせた勢いで退職をしてしまうと、後で冷静になって考えたとき、「どうして退職届なんて出しちゃったんだろう」とか「もう少しちゃんと考えればよかった」などと後悔することになりかねません。

まだ決心も100%固まっていない状態で、「転職を考えている」とか「辞めようと思っている」などと口に出してしまうだけでも、辞められないようにいろいろな方面から圧力をかけられることになって、転職しずらくなってしまったり、あるいは周囲から嫌がらせを受けたり雰囲気が悪くなったりして、自分の予期せぬタイミングで早期に会社を辞めざるを得なくなってしまい、無職になってしまうケースなども考えられます。

そういったことにならないように、自分は本当に退職したいのかを改めてしっかりと考えた上で、退職に向けて行動するようにしましょう。

(2)会社の就業規則を確認する

こちらのページ転職で「円満退職」の仕方!挨拶やタイミング、退社の伝え方例は?辞める理由は嘘はあり?引き止められた時どうする?でお話したように、民法上は本来退職したい日の2週間前に申し出れば問題ないことになっていますが、基本的にはその会社の就業規定に従うのが一般的です。

例えば就業規則で、退職は1ヶ月前に申し出ること、2ヶ月前までに退職願を提出することなどと決まっている場合は民法ではなく就業規定を優先します。

自社の就業規定を前もって確認しておかないと、辞めたいと思っている時期に辞められなかったり、次の転職先で内定がもらえていても予定の時期に退職できずに入社日が遅れてしまうなどの事態にもなりかねません。

退職届、退職願、辞表の違いは何?なぜ提出する必要がある?

ニート 三女ニート 三女

会社を辞める時なんて、ただ口頭で「辞めます!」じゃダメなの?
私が昔アルバイトしてた時は、それで通ったけどなぁ。

派遣 次男派遣 次男

僕もずっと派遣だけど、派遣先に退職届とか出したことがないなぁ。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

それはそのはずね。
退職届や退職願は、基本的に正社員として働いている人が会社に提出する必要があるもので、アルバイトや派遣社員の場合は提出する必要はないわ。

アルバイトの場合は口頭で伝えればOKだけど、アルバイト先によっては退職届の提出を求められることがあるから、確認が必要よ。

派遣については、そもそも労働契約を結んでいるのは派遣先ではなく派遣会社とであるため、派遣先への退職届の提出は不要です!

派遣 次男派遣 次男

なるほど。

それじゃあ、その退職届や退職願の違いって何なのかな?

転職の女神 長女 転職の女神 長女

退職時に勤務先に提出する書類は、「退職届」「退職願」「辞表」と呼ばれているけど、これらの違いは名称だけではないの。

状況に応じて提出すべき書類が異なっているため、しっかりと把握する必要があるわね。

退職願

退職願は、勤務先に対して「退職させてください」と願い出るための書類です。

つまり退職の承諾を得るためのものなので、必ず書面として提出しなければならないものではなく、さらに会社は雇用契約を終わらせるか却下するかを判断することができるということになります。

願い出るものなので、基本的には後から撤回することも出来るのが特徴です。

ただし、就業規則などに別段の定めがある場合を除いて、雇用期間の定めのない契約は労働者が退職を申し出た後2週間を過ぎると、会社の同意がなくても、退職の効力が生じます(民法627条)。

このため、多くの会社は退職届・退職願の名称に特にこだわることなく、労働者から退職の意思を表明された場合には、その意思を尊重する傾向にあります。

退職届

退職届は、基本的には会社と労働者側で話し合うなどして、合意の上である程度具体的に退職が決まっている場合に、「確実に退職します」との意思を表明するために提出する書類です。

退職願とは違って、確実に退職を申し出るものですので、会社は受理するしかないですし、一度受理された後は撤回することもできません。

会社によっては、退職届のフォーマットが予め用意されていることが多いので、会社指定の書類フォーマットに沿って記入するだけで済むこともあるので、確認したほうが良さそうです。

辞表

辞表とは、会社の役員や取締役、社長など重要なポジションに就いている経営層の人、もしくは公務員の人が辞意を表すときに提出する書類のことです。

つまり、こういった経営層でない場合や公務員でもない一般的な会社員であれば、辞表を提出するのではなく退職願または退職届を提出することになります。

ちなみにいずれの書類も自己都合退職のときに提出するもので、会社都合退職のときには会社から「解雇通知」等が送付され、労働者から提出するものはありません。

では、退職願と退職届どちらを提出するべき?

ここまででわかった通り、経営層の人または公務員でない限り辞表ではなく、退職願または退職届を提出することとなります。

退職願と退職届の大きな違いとしては、「退職願」は後から撤回することが出来るが、「退職届」は後から撤回することができないという点です。

テレビドラマでは頭に血の上った社員の退職願を上司が人事課に提出せずに預かっていて、問題などが解決した後にその社員に返すシーンを目にすることもありますよね。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

現実でもこのようなことは起こりうるのかもしれませんが、実際には会社と労働者で労働契約を解約する合意が成立してしまうと撤回は難しいでしょう。

退職届を撤回したいならば合意が成立してしまう前、つまり上司から人事課、経営者に手渡される前に「引き続き勤務したい」との意思を伝える必要があります。

仮に脅されて退職届を書かされたような場合には、合意を取り消せる可能性があるので、このような特別な事情がある場合には弁護士などの専門家に相談してください。

さらに言うならば、退職願も退職届も提出が法律で義務付けられているものではないため、会社を辞める時には必ず出さなければならない書類というわけではないのです。

もちろん就業規則で提出が定められている場合は提出が必要ですし、口頭で済ませる場合もありますが、口約束は後々なにかトラブルが起きても対処できずに不利になってしまうこともあるので、注意しましょう。

つまり、もしなにか退職に関して問題が起きたり会社側と揉めるようなことが起きてしまったときに、口頭で約束しているだけでは自分の主張を証明できないことになります。

法律で決まっていなくても、後々トラブルにならないためにも書面に残して提出しておいたほうがいいということです。

さらに言うならば、自分が提出した書類はコピーを取っておくのが安心でしょう。

では、退職願と退職届のどちらを利用・提出すればいいのかと言うと、基本的にはどちらを提出しても問題ありません

とは言え、会社の規定で両方とも提出するように決まっている場合もあるので上司に確認してみましょう。



それぞれの特徴や性質を考えると、一般的な流れとしては…

  • 上司に退職願を提出(または口頭で申し出る)
  • ※退職願は必ず必要な書類ではないので、退職願を必ず用意せずとも退職したいと申し出ることができます。
    つまり一般的には退職を切り出す時に退職願は必要ありません。

  • 会社の承諾を得たり相談の結果、具体的に退職について固まる
  • 相談の上、退職日を決定する
  • 「退職届」を提出する(会社規定期日がある場合は守る)
  • ※退職願は不要ですが退職届はしっかり出したほうが無難です。

  • 退職

といった感じです。

全体の基本の流れがわかったところで、次は提出先とタイミングについてです。

退職願を出すタイミングや期日は?誰に渡す?

円満に退職するためには、退職願・退職届を提出する適切なタイミングについても把握しておきましょう。

誰宛てに提出するか

退職願・退職届を提出するのは、就業規則で定めのある場合を除いて、基本的に人事課ではなく直属の上司です。

上司はその部署について責任のある立場なので、もし部下が退職の意思を固めているのに知らされていなければ、面目丸つぶれとなってしまいます。

それでは円満退社どころか、上司やまわりとの関係性まで壊れてしまいかねません。

メンツを壊して上司の立場を危うくしてしまわないように、退職願は必ず直属の上司に提出しましょう。



いつ提出するか

会社が引継ぎの準備を進められるように、一般的には退職する予定日の約1、2か月前に提出しておくことが求められます。

確かに民法上、期間の定めのない雇用契約では2週間前に提出すればよいこととされていますが、就業規則で例外を設けている企業もありますので、注意が必要です。

2週間の猶予さえ会社に与えずに退職し、会社に損害を負わせた場合には、損害賠償を請求される可能性があります。

つまり、提出の時期に関して会社の就業規定がある場合はそれに従うようにしましょう。


そのほか、退職日までの具体的なスケジュールについてはこちらのページ転職で「円満退職」の仕方!挨拶やタイミング、退社の伝え方例は?辞める理由は嘘はあり?引き止められた時どうする?を参考にしてください。

提出の方法

基本的には、上司に直接手渡しで提出するのが昔から決まっている社会人としてのマナーです。

決していきなり郵送で送ったり、上司のデスクの上に置いておいたり、上司に渡してもらうよう誰かに頼んで渡すのは絶対にやめましょう。

退職願、退職届の書き方と具体例文

転職の女神 長女 転職の女神 長女

退職願も退職届も、会社の規定がある場合はその書き方に従いますが、基本的にはパソコンではなく手書き(縦書き)で作成するようにしましょう。

また、書き方にも特に決まりがあるわけではなく、退職の意思表示がわかれば良しとされますが、やはりしっかりと退職届として効力をもたせるためにも、一般的なテンプレートは守ったほうがいいでしょう。

退職願の場合の見本


退職届の場合の見本


どちらの場合も、
(1)右端にタイトル
(2)本文の開始で1番下に「私事、」と書いて、改行します
(3)退職日は漢数字で書く
(4)役職名は記載せず、部署や氏名、印鑑を押す
(5)宛名は会社の最高責任者にする
と言った感じです。

用紙の選び方と折り方

用紙は白い便箋で、サイズはB5またはA4ならOKですが、B5が一般的です。
罫線入りでも罫線なしでもいいですが、それならシンプルなものにしましょう。

筆記用具は黒の万年筆またはボールペンで、油性でも水性でもOKです。

封筒に入れる退職願・退職届の折り方は、三つ折りが基本です。

こんな感じで①、②の順番で三つ折りします。

封筒の選び方、書き方、入れ方

封筒は郵便番号の枠が書かれていない、白の無地のものを用意し、サイズはB5用紙なら「長形4号」、A4用紙なら「長形3号」を使いましょう。

退職願と退職届の封筒の書き方は、こんな感じです。



パソコンで作成する場合

先程お話したように、退職願も退職届も手書きが基本ですが、絶対にパソコンで作成したものを使用してはならないというわけではありません。

手書きで書いたほうが誠意や気持ちが伝わると考える風習は強いですが、「手書きはちょっと…」という人はパソコンでもいいでしょう。

ただもちろん会社側から「手書きで作成で」や「パソコンで作成で」、「会社のフォーマットを使って」などと指示がある場合はそれに従います。

退職願や退職届をパソコンで作成する場合は、さまざまな転職サイトで見本として使えるテンプレートがダウンロードできるようになっているので、そちらを利用すると簡単に作成できます。

例えば…
●リクナビNEXTの場合
ワードで作成する場合のテンプレートダウンロードはこちら↓
【テンプレートあり】退職願・退職届の書き方・渡し方、封筒への入れ方は? ポイントを学んで円満退職!

●エン転職の場合
Word形式のテンプレダウンロード↓
退職願・退職届の書き方ガイド

●マイナビジョブ20’sの場合
Word形式、PDF形式のダウンロードはこちら↓
退職届・退職願の書き方と違いとは(テンプレート・フォーマットダウンロードあり)

退職願を上司が受け取ってくれない場合の対処法

退職届を受け取ってもらえない理由にもよりますが、まずは上司の説得を試みましょう。
ひょっとすると「辞めたい」という意思がきちんと伝わっていないために、上司は退職願の受領を拒否しているのかもしれません。

交渉にあたって口頭で話し合いをすると、後々言った・言っていないの水掛け論になりますので、メールなど証拠の残る方法を実践しましょう。

話し合いによる場合には会話を録音しておき、証拠化するのがオススメです。



上司のさらに上司や人事課も巻き込んで説得するのも1つの手です。
逆に上司に自分が説得されて、もう少し働く気になることもあるでしょう。

それは退職の意思が固まっていないことを示していますので、再び退職するか否かを真剣に考えてみると良いでしょう。


もし説得が功を奏さないようであれば、労働基準監督署や弁護士に相談してください。

万一、強硬に退職する必要があるならば、内容証明郵便で会社宛てに退職願を提出すれば、退職願が到着した日の2週間後に退職することができます。

就業規則の定めによっては退職までに2週間以上必要なこともありますが、永久に退職できないわけではありません。

こちら仕事を辞めたいけど会社(上司)に言えない・言い出せない時の対処法と改善策!まずは行動してみよう!も参考にどうぞ。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

自己都合退職であれ、会社都合退職であれ、「立つ鳥跡を濁さず」との言葉に示されているように、お世話になった会社でトラブルを起こさないようにちんと対処方法を学んでおいて、実践したいところです。

お世話になった会社とはいえ、退職するのは正当な選択肢なので、自分の意志を大切にしてください!