やりたい仕事が他に見つかったり、あるいは今の仕事の給料や職場の雰囲気が合わないなど、さまざまな理由で退職を考えている、またはすでに会社を辞めている人もいるでしょう。

仕事をやめても次の仕事が決まっていれば、精神的にもそこまで負担ではないですが、次の転職先が決まっていない状態では、気持ち的にも焦りますし、収入面でも不安が大きいと思います。

そんな時に私たちが受け取れる可能性がある「失業保険」。

会社員であれば、失業保険や失業給付金について少しは知っている人もいると思いますが、失業手当は誰もがもらえるものではありません。

そこで、そもそも失業保険とはどういったものなのか、どんな条件を満たしたら受給できるのか、どれぐらいの期間もらえるのか、どういった手続きが必要なのかなど、失業保険の詳しい内容まではわからないという人もいると思います。

しっかりと知っておかないと、もらえるはず手当がもらえなかったり、最大の金額が受け取れなかったりするケースもあります。

「あまり難しいことは苦手だ…」という人のためにもわかりやすく解説していきますので、参考にしてください。



そもそも「失業保険」とはどんなもの?なんのためにあるの?

派遣 次男派遣 次男

「失業保険」って言葉は聞いたことがあるけど、実際にどんなものなのかは全く知らないなぁ。

簡単に言うとどういう保険なの?

「失業保険」とは、会社員が自己都合退職をしたり、人員整理などの会社都合で退職を余儀なくされ失業したりしたり、定年退職したりした時に、生活が困難になるのを防ぐためにある保険です。

正確には、そもそも「失業保険」という名前の保険があるわけではなく、失業保険や失業手当、失業給付などと呼ばれることが多いものの、正しくは公的保険制度である”雇用保険でもらえる失業給付”のことで、正式名称は「求職者給付」と言います。



転職の女神 長女 転職の女神 長女

「失業保険」という言葉のほうが馴染みがあったりしますが、この失業給付の目的としては、失業によって失われる収入のかわりに、お金を支給してもらうことで、生活への支障を最低限に抑えることが目的です。

雇用保険には失業した人をサポートするという目的だけでなく、離職していないが離職の危機にある人をサポートするとか、自分で勉強する人を応援するという目的も含まれています。

雇用保険は公的な制度で税金の投入も行われますが、「保険」と名の付く通り、失業保険の恩恵を受けるためには保険料を支払う必要があり、保険料は会社とその従業員が負担しています。

給料明細を見ると、「雇用保険料」という項目があり、保険料が給料から引かれていることがわかります。

運営や管理を行っているのは厚生労働省ですが、実際に失業者の手続きや失業手当の給付などは、それぞれ各地のハローワークが担当しています。

次の仕事が見つかるまでの期間、基本手当として失業給付金を給付することで生活を支援してもらえるので、今仕事を辞めてしまっている人、もしくは今の仕事を辞めようと思っている人にとっては、とても心強い保険ですね。

仕事を失ってしまうと完全に収入源がなくなってしまい、生活を維持しようと、なにか一時的に収入を得るためにバイトや派遣などの仕事をすると、転職活動に使う時間が十分に取れなかったり、失業期間が長引いてしまったり、そのほか「早く仕事を見つけなければ生活が出来ない…」と、興味がない仕事ややりたくない仕事であっても焦って無理に再就職することにもなりかねません。

経済面での一定のサポートがあれば、生活を維持しながら落ち着いて次の転職先を探すことができます。

ただ、失業手当をあてにして思いたったままに仕事を辞めてしまうのではなく、職歴に空白期間を作らないためにも、転職活動は仕事を辞める前の在職中に開始し、次の仕事が見つかってから退職するのがおすすめです。

これについてはこちらのページ有利な転職活動は働きながら(在職中)?辞めてから(退職後)?メリット&デメリット!会社にバレる?在職中の退職日や入社日の答え方、企業の印象は?で解説しています。

失業保険が受け取れる対象になる人は?受け取る条件とは?

派遣 次男派遣 次男

仕事を辞めてる間にお金がもらえるなんて、すごい保険だね!

それなら安心して今の仕事を辞められるよ。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

ちょっと待って、失業手当は誰もがもらえるものじゃないのよ。

受け取るためにはいくつか条件があるから、自分が受け取る資格があるかどうかチェックしてみましょう。

失業保険の失業給付金を受給する対象者になるには、一定の条件を満たす必要があります。

  • 現在失業中であること
  • 会社を退職して現在仕事がない状態であることが大前提です。
    退職してすぐに転職した人や、アルバイトなど働き始めた人はNGです。

  • 就職する意思と能力があること
  • 退職してもすぐに働き始めようとしている人や、すぐに働ける状態にある人が支給の対象になります。
    仕事を辞めてしばらくゆっくりしたいと思っている人や、少し休養がしたいと思っている人は、”すぐに働く意思がある”とはみなされません。

    また働く能力とは、仕事のスキルのことではなく健康状態などのことで、病気やケガで働けない状態にあると働く能力なしということになります。

  • ハローワークにて積極的に求職活動を行っている
  • ハローワークに行って、所定の手続き・申し込みを行い、積極的に求職活動を行っているものの、仕事に就くことが出来ない状態であることも受給資格の1つです。

    例えば求人雑誌を見たり転職サイトで探したりなど、自分で個人的に求職活動をしているだけでは、積極的に求職活動をしているとはみなされないので注意が必要です。

  • 雇用保険の被保険者期間を満たしていること
  • 退職前までの一定期間以上の間、雇用保険の被保険者期間があることも条件の1つで、雇用保険の被保険者期間というのは、簡単に言うと”雇用保険に加入していた期間”ということです。

    また、どれくらい雇用保険への加入期間が必要になるかというと、これは「自己都合退職」と「会社都合退職」によって異なります。

    自己都合退職というのは、転職や起業など個人的な理由で退職するもので、会社都合退職とは、解雇(懲戒解雇は除く)や倒産、退職勧奨などが理由の退職です。

    この2つの違いについて詳しくはこちら転職で退職届、退職願、辞表の違いや書き方例文と渡し方は?ワード、PDFテンプレート無料ダウンロードや用紙サンプル!自己都合退社と会社都合退社の違いとはへ。

    ●自己都合退職の場合…離職日以前の2年間に通算して12ヶ月以上あること
    ●会社都合退職の場合…離職日以前の1年間に通算して6ヶ月以上あること(会社都合の退職だと認められた場合、「特定受給資格者」に規定されます。)

    またこの1ヶ月分として含むには、1ヶ月のうち11日以上出勤日(有給含む)がある月である必要があります。
    つまり病気などで11日以上出勤日がない月は被保険者期間として含めないので注意しましょう。


これらの条件をクリアしている人のみが、失業手当がもらえる資格があることになります。

例えば病気やケガ、出産などの自己都合退職の場合であっても、”正当な理由である”と認められた場合には「特定受給資格者」に規定され、会社都合退職と同様に退職以前の1年間に6ヶ月以上あれば、受給資格として認められることになります。


どう認定されるかは、ハローワークに相談してみましょう。

ちなみにこの離職理由が判断される流れが、ハローワークに載っていたので紹介します。

(ハローワーク基本手当についてより)

派遣 次男派遣 次男

うーん、なんだか思ったよりも条件がいろいろあるんだね。

気になったのは「雇用保険に加入していた期間」だなぁ。

入社したばかりですぐに退職しちゃったら、その一定期間に満たないってことだよね?

転職の女神 長女 転職の女神 長女

そうでもないの。
注目してもらいたいのは、”通算して”という点よ。

雇用保険の加入期間は1つの会社だけとは決まっていないので、例えば現在の会社を離職する日以前の2年間に、その前の会社で雇用保険に加入していた期間なども通算して加入期間が超えていればいいの。

雇用保険の加入期間は、通算できることを頭に置いておいてもらいたいわ。

しかしこの加入期間を通算するにも条件があり、例えば前職の退職時に失業給付を受けていないこと、前職を退職してとから再就職の空白期間が1年以内であることなどがあります。

「うーん、私の場合もらえるのかな?」と自分では判断がつきずらい人は、まずはハローワークにて相談してみるといいでしょう。



失業給付金が受け取れない人とはどんな人?

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失業保険を理解するポイントは、自分が退職した場合に失業給付金を受け取れるかどうかを判断できるようになることね。

ここまでお話した、失業手当を受け取る資格と照らし合わせて、どんな人がお金を受け取れないのかも確認しておきましょう。

失業給付金が受け取れない人というのは、簡単に言えば先程解説した”受給資格を満たしていない人”ということになります。

受給資格を1つでもクリアしていない場合は、失業給付金を受け取ることが出来ません。

ちょっとわかりにくい点をお話すると、例えば病気やケガ、妊娠、出産、育児などで会社を辞めてすぐに次の仕事に就くことができない状態の場合や、結婚してしばらく主婦をするなどですぐに仕事に就かない場合などは失業保険の受給資格はありません。

”今すぐに就職する意思と能力があること”には当てはまらないからです。

ただ、病気やケガ、妊娠、出産などの場合、失業給付金の受給期間の延長を申請できる可能性があります。

この制度を利用することで、病気が回復したりして再就職を希望した時、後から失業保険の給付が受けられるようになります。

この場合はハローワークに「失業保険受給期間延長申請書」を提出することで、最長3年まで期間を先延ばしに出来ます。

また、病気などで会社を辞めた場合には「傷病手当」を受けることができることがあります。
これについてはこちらのページ仕事辞めたい…無理してうつ病(鬱)に?症状とチェック。退職・転職するべき?傷病手当金とはへ。

いくら支給される?退職理由で異なる?給付日数は?

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雇用保険からの基本手当が受け取れるとなったら、次に気になるのはどれぐらいの期間受け取ることができるのか、金額はどれぐらいになるのかでしょう。

基本手当は、1日あたりに受け取る金額それを何日間受け取れるかの要素に分けられます。

  • まず1日あたりの金額ですが、賃金日額に一定の率を乗じて計算します。

賃金日額は、退職以前の約6カ月分の給料をベースに算出します。
端数調整などを除けば、過去6カ月平均の1日あたりの給料だと理解すればよいでしょう。

ボーナスは入れませんが、残業手当や住宅手当などは含まれます。
そのため、退職直前に残業手当が多いと基本手当が増えることになります。

ただし、賃金日額には年齢別の上限が設定されていますので、高給取りの場合は上限までとなります。
一定の率は、60歳までは50%から80%、60歳以上65歳未満は45%から80%とされ、賃金日額が高いほどこの率は低くなります。

概算ですが、平均月収が35万円程度まで高くなると率は下限の50%になってきます。
率が50%になる場合は、基本手当の額は退職前の約半分ということになります。



  • 次は、その基本手当を何日間もらい続けることができるかです。

受給できる日数のことを所定給付日数といいます。
この日数は、退職理由や勤続年数、年齢によって異なります。

まず退職理由ですが、主に自己都合退職、会社都合退職に分けられます。
会社都合退職の場合は突然失業者となる可能性が高いですので、所定給付日数は自己都合退職よりも多く設定されています。

この、自己都合退職と会社都合退職との違いは、こちらのページ転職の際の退職届と退職願、辞表の違いと注意すること&自己都合退社と会社都合退社の違いで解説しています。

また、自己都合退職の場合は年齢による違いはなく、勤続年数の長さで所定給付日数が決まりますが、会社都合退職の場合は年齢によっても所定給付日数が変わる仕組みになっています。
原則として、自己都合退職の場合は90日から150日、会社都合の場合は90日から330日のいずれかになります。

失業手当てがもらえるまでの手続きの流れ

失業手当を受け取るには、具体的にどのような流れがあるのか確認をしておきましょう。

(1)ハローワークにて申請
まずは自分が住んでいる地域を管轄しているハローワークに行き、手続き・申請をする必要があります。

申請に必要なのは、離職票、雇用保険被保険者証、運転免許証、印鑑、写真、口座預金通帳、キャッシュカードです。

雇用保険の受付にて、担当の人による簡単な面談(ヒアリング)があり、退職に至った経緯や事情、現在の状況、離職票の内容と違いはないのかを確認されます。

(2)失業保険説明会へ出席
失業保険を受け取るには、説明会に出席する必要があり、相談時にいつ説明会が行われるのか案内があるので、忘れずに出席するようにします。

説明会では、求職活動計画書、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書などの書類がもらえるので、これを受け取った後からようやくハローワークにて求職活動が行えます。

(3)失業保険の初回認定日にハローワークへ
失業保険の初回認定日には、ハローワークへ必ず出席することが条件となります。

この認定日というのは1ヶ月に1度のペースで設定され、その認定日に失業中だと認定されれば失業給付金が振り込まれるようになります。

この他にも求職活動をしているなど、いくつか条件があるので、詳しくはハローワークで案内を受けましょう。

給付を受けるために注意することとは?

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失業給付金と呼ばれる基本手当を受け取るためには、ご紹介した受給要件など以外にも注意すべき点が3つあります。

  • 1.原則、退職日の翌日から1年間

1つ目は、基本手当を受けられる期間は原則として退職日の翌日から1年間という点です。
基本手当を受給するためには、会社からもらう離職票と呼ばれる書類を持ってハローワークで求職の申し込みを行う必要があります。

しかし、退職後数か月経過してから申し込みを行った場合、仮に所定給付日数が330日だったとしても、求職の申し込みが遅かったために基本手当をもらいきれなくなる可能性があります。
求職の申し込み日から1年以内ではなく、退職から1年以内しか基本手当はもらえない点は理解しておく必要があるでしょう。

なお職業訓練を受ける場合や病気、ケガ、出産などの場合はこの期限が延長されることがあります。



  • 2.不正受給をしないこと

2つ目の注意点は、不正受給です。
退職後は家事に専念する予定であるもかかわらず、求職活動をして就職を目指すかのように偽装して基本手当を受給すると不正受給になります。

定年退職後引退しようとしているにもかかわらず受給した場合も同じです。
不正受給をすると受給した基本手当を返還するだけでなく、その2倍の金額を支払う必要があり、つまり3倍返しになります。

失業保険をもらっている最中のバイトなどについてはこの先で解説します。

  • 3.一定期間受給できない制限もある

3つ目は、基本手当についてまったくもらえないわけではありませんが、一定期間受給できない制限がかかる場合があることです。
支給制限の対象となる人は自己都合で退職した人です。
基本手当は、失業して7日以内に再就職できた人には支給されない仕組みになっています。

しかし自己都合退職の人は、この7日間に加えて3カ月の支給制限があります。
自己都合で退職した場合は、退職してから3カ月強は基本手当をもらえない点には注意が必要です。

ただ、自己都合で退職した一般受給者であっても、ハローワークの職業訓練を受けることになれば、この3ヶ月間の給付制限をなくすことができます。

職業訓練を受けることで、失業保険の受給期間がのびたりして長期間に渡って給付金が受け取れるようになったりするので、もし気になる場合はハローワークの担当の人に聞いてみるといいでしょう。



雇用保険の仕組みを正しく理解して、基本手当を受給する権利がある場合はもれなく受給するようにしましょう。

失業保険の利用中にアルバイトをしてもいいの?

アルバイトなど、短期間の仕事であれば、失業手当の受給を受けていても可能なケースがあります。

毎月行われる認定日に、アルバイトをした日数、時間、受け取った金額などを申告することで、失業手当の給付も引き続き受けることができます。

労働時間や勤務日数などにいろいろと条件があるので、アルバイトをしようか考えている人はまずハローワークに確認をとってからのほうがいいでしょう。

くれぐれも先程お話したような不正受給にはならないよう、しっかりと申告することが大切です。

ただ、失業手当の受給中の収入というのは、もらえる手当から減額されることになり、本来受け取れる給付額を越えた収入は得られません。

また、失業保険の手続きをした後の7日間はアルバイトはNGとなっているので注意しましょう。

ここまでは失業保険についてお話してきましたが、新しく仕事に就いた時にもらえる、「再就職手当」というものもあります。

これについて詳しくはこちら再就職手当とは?受け取る条件と計算方法、就業手当との違いを参考にしてください。