失業中に受け取れる「失業保険」については多くの方が知っているでしょうが、再就職できたときにもらえる「再就職手当」については知らない方も多いかもしれません。

名前の通り、再就職をした時にもらえるお金のことですが、どんな時にもらえるのか、どんな人がもらえるのかというのは、いろいろと条件があります。

会社を辞めて今失業保険をもらっている人からすると、「失業保険をもらえるだけすべて支給してもらった後に就職活動をすればいいや」とか「失業保険をもらうのと再就職手当をもらうのどっちが得なんだろう」なんて思っている人もいるかもしれませんが、実はそういった考え方をしていると、思わぬリスクがあったりもします。

誰もが「もらえるお金があるならもらっておきたい」とか、「損したくない」と思うのは当然のことです。

また、同じようなもので「就業手当」というものもあり、それぞれどんな違いがあるのか混乱しやすいと思います。

そこでこのページでは、そもそも再就職手当とはどんなお金なのかという基本的なことから、受給資格、期間、いくらもらえるのか、そして失業保険と再就職手当、就業手当との違いや、自分が損しないための受け取り方などについてお話します。



「再就職手当」とはどんなもの?受給条件・受給資格は?

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「再就職手当」って言葉からして、なんとなくイメージはつくけど、やっぱり誰でももらえるお金じゃなさそうだね。

どんな手当で、どんな人が受け取れるんだろう?

転職の女神 長女 転職の女神 長女

「再就職手当」とは、失業してしまった人が一定の条件を満たして就職した場合や、事業主となった場合に国から受け取れる“ご祝儀(お祝い金)”のことです。

再就職手当は、失業者に就職活動を早く積極的に行ってもらうことが目的で、支給されるためには失業後一定期間内に就職することなど、いろいろと条件があるわ。

簡単に言うと、雇用保険の中の就業促進給付のうち早期の再就職を目的とした制度で、失業していても早く再就職が決まった人への”就職祝い金”ということです。

早期の再就職を促す制度なので、より早く再就職したほうが給付率が高い仕組みとなっています。

なぜこのような制度があるのかというと、会社を辞めても失業手当が受け取れる間は、働いていないのに前職の収入のうち5割から8割ほどの失業手当がもらえるため、「失業手当をもらえるうちは働かないでおこう」とか「失業手当がもらえる間にすぐ再就職してしまったら損だ」などと考える人がいて、結果として失業期間が長引いてしまうのを防ぐためです。

失業保険についてはこちら雇用保険の「失業保険、失業給付金、失業手当」の受給資格、条件や期間、金額はどうやって決まる?自己都合退職と会社都合退職でどう変わる?ハローワークでの申請・手続きでいつからもらえる?へ。

実際のところ、失業手当(失業給付金)が受け取れる間は再就職しないほうが本当に得なのかどうかについては、この先でお話します。

再就職手当の受給資格・条件

再就職手当は、誰もがもらえるわけではなく、次の条件を満たしている必要があります。

まず基本となるのは、失業保険の支給日数が、所定給付日数の3分の1以上残した状態で再就職することです。

もし失業手当(失業給付金)を受け取っている間であっても、受け取れる残りの日数が3分の1以上残っていないともらえません。



ハローワークに書かれていた支給要件を紹介します。

ハローワークに書かれている再就職手当の支給条件

1. 失業保険受給の手続き後、7日間の待期期間を満了後に就職、または事業を開始したこと。
2. 就業日の前日までの失業の認定を受けた上で、失業手当(基本手当)の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること。
3. 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本、資金、人事、取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
4. 自己都合退職により3ヶ月の給付制限がある場合は、待機期間満了後1ヶ月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
5. 決まった再就職先は、1年を超えて勤務することが見込みがあること。
6. 原則、雇用保険の被保険者となっていること。
7. 過去3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと。
8. 受給資格決定の前から、採用が内定していた事業主に雇用されたものではないこと。


このように、元の事業主に再び雇われたものではないことや、失業保険の手続きをする前に雇われることが約束されていないこと、1年以上雇用されることが確実と予想される職業に就いたことが支給の要件となっています。

たとえば1年のうち繁忙期だけ勤務することが契約条件となっている場合には、1年以上雇用されることが確実とは言えないため、再就職手当を受け取れません。

この1年以上働けるか否かは見込みで構わないものの、過去3年以内に再就職手当を受け取ったことのある人は再び再就職手当を受け取ることはできません

どれかの条件に該当すればいいわけではなく、これら全ての条件を満たす必要があるので、注意しましょう。

注意しなければならないのは、自己都合退職の場合はハローワークや職業紹介業者の紹介での就職が対象になるので、ハローワーク以外で就職先を見つけてしまうと、受給の対象にはならないということです。

会社都合での退職の場合、再就職手当の受給条件をクリアしていれば、ハローワーク以外で就職先を見つけて再就職した場合でも再就職手当は受け取れるという違いがあります。

再就職手当がもらえないケースとは?

ここまで、再就職手当が受け取れる条件についてお話しましたが、再就職手当が受け取れないケースも存在します。

簡単に言えば、再就職手当の受給条件、受給資格を満たしていない場合ということになりますが、もう少しわかりやすく見てみましょう。

例えば、そもそも雇用保険に加入すらしていないケース。
これはもちろん保険料を支払っていないことになるので、再就職手当を受ける資格はありません。

受給資格で書いたように、数日しか働かないような短期のバイトの場合も再就職手当は受け取れません。

ただ、派遣社員の場合は正社員と同じように再就職手当を受け取ることができます。



また、失業手当受給中に再就職して再就職手当の申請をしても、仕事が合わなかったり職場に馴染めなかったりして3ヶ月経たないうちにまた退職してしまった場合も、再就職手当が受け取れません。

再就職手当を受け取れるのは、申請してから3ヶ月後にハローワークが再就職先に雇用(在籍)を確認してからですので、簡単に言うと再就職しても3ヶ月以内に退職してしまうと再就職手当は受け取れないということになります。

さらに、再就職手当をもらって1年以内に自己都合で退職してしまうと、失業保険から受け取った再就職手当の分を差し引かれてしまいますので、注意が必要です。

実際いくらもらえるの?再就職手当の計算方法

SE 長男SE 長男

もらえる基準や条件って、予想していたよりいろいろあるんだね。

この条件をしっかりクリアしたとして、再就職手当っていくらくらいもらえるのかな?

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基本的には、『所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額(上限あり)』の計算式で支給額が計算されるわ。

この「給付率」というのは、失業手当の支給残日数によって変わってきます。

わかりやすい表がハローワークに載っていたので紹介します。

(ハローワーク再就職手当のご案内より)

再就職手当の給付率について

●支給日数を所定給付日数の3分の2以上残して再就職した場合…基本手当の支給残日数の70%の額
●支給日数を所定給付日数の3分の1以上残して再就職した場合…基本手当の支給残日数の60%の額
となっています。

つまり、早く再就職をしたほうが給付率が高いことがわかりますね。

この所定給付日数と支給残日数と支給率についてハローワークに記載されていたものがこちらです。

(ハローワーク再就職手当のご案内より)

このように、再就職手当として受け取れるのは、支給残日数に基本手当日額をかけた金額のうち一定割合(給付率)に相当する額です(1円未満の端数は切り捨てとなります)。

基本手当日額や支給残日数は、雇用保険受領資格者証をみれば「基本手当日額」や「残日数」などという項目があるので、すぐに確認することができます。

基本手当の支給額は、退職直前の6か月間の平均給与及び退職時の年齢から定まり、総じて失業前の給与が高い人ほど基本手当の額も高くなりますが、上限・下限が設けられているため、支給額に大きな差は生じない仕組みとなっています。

上限額は「毎月勤労統計」の平均給与額により改訂され、平成28年8月1日から平成29年7月31日までの上限は、60歳未満5805円、60歳以上65歳未満4707円でした。

給付率に関しては、2017年1月に厚生労働省は長期失業者を減らすため、より早期に再就職した人を対象に1割増やすことにしました。

つまり、これまでは所定給付日数の3分の2以上残して就職した場合の給付率は6割、それ未満であった場合には5割の給付率でしたが、就職日が平成29年1月1日以降である場合には、それぞれ7割、6割に相当する金額が支給されるようになりました。

もらえる受給額の計算例

たとえば基本手当日額が4000円、所定給付日数120日のうち80日を残して再就職した場合(受給者は60歳未満)には、22万4000円の再就職手当を受け取ることができます(4000×80×0.7)。

もしこのケースにおいて80日就職せずに失業保険を受け取ったならば、32万円受け取ることができます(4000×80)。

一見失業保険を満額受け取った方が良いように思えるかもしれませんが、就職した場合には再就職先での給与も通常通り受け取れるので、再就職手当を受け取った方がお得といえるでしょう。



再就職手当の手続き方法、必要なものは?いつもらえる?

ではここから、再就職手当の受給方法の流れを解説します。

まず、新たな勤務先から「採用証明」を受け取って、ハローワークに提出します。

ハローワークで再就職手当の申請に必要な「再就職手当支給申請書」または「常用就職支度手当支給申請書」を受け取って、本人記載欄を記載して、勤務先の事業主にも必要事項を記入してもらいましょう。

記入後「受給資格者証」を添えてハローワークに提出すると、再就職手当を受け取れるようになります。

平日勤務している方などは、郵送でハローワークに提出すると良いでしょう(この場合、返信用封筒が必要です)。

採用日から1か月以内に提出しなければ、受給できなくなりますので気を付けてください。



つまり再就職手当の申請期限は、就職の翌日から1ヶ月以内ということになります。


勤務を開始したばかりの1か月間は何かと忙しくなると予想されますので、期限を過ぎてしまわないように早め早めの行動を意識しましょう。

状況によっては、再就職手当調査書や出勤簿、タイムカードの写しなどの提出が求められることもあります。

そして、再就職手当支給申請書を提出した約1か月後、実際に勤務しているかどうか、雇用保険に加入しているかなどの調査が開始されます。

調査が終わると支給決定通知書が届き、特に問題がなければ1週間ほどで指定した口座にお金が振り込まれます。

万一、再就職手当支給後に離職してしまった場合には、再就職手当分を除く残日数分を受給できる可能性がありますので、ハローワークに相談してみてください。

つまり、再就職手当がもらえるのは早くとも1ヶ月以上は先となります。

提出した書類に記入漏れなどがない場合、約1ヶ月後に再就職手当の支給または不支給の「決定通知書」が郵送され、支給される場合はその通知から1週間ほど後に口座に支給される形となります。

具体的にいつもらえるのかは、この審査のタイミングや混雑状況などにもよりますが、だいたい申請から1ヶ月ほどだと覚えておきましょう。

この1ヶ月の申請期限を過ぎてしまいそうな場合、ハローワークに予め連絡を入れておくことで、再就職手当の申請を2年間までであれば先延ばしにすることができます。

  • ちなみに、もし再就職手当の支給が決定した後に離職(退職)してしまった場合には、再就職手当をのぞく失業手当の残日数分が受け取れる可能性がありますので、再度ハローワークに行って相談してみてください。

再就職手当の他に受け取れる可能性のあるお金

雇用保険の中の就業促進給付のうち、再就職手当の他に(1)就業促進定着手当、(2)就業手当、(3)常用就職支度手当というものもあります。

(1)就業促進定着手当

(1)就業促進定着手当とは、早期に再就職をして再就職手当の支給を受けた人が、その再就職先で6ヶ月以上雇用されて、なおかつ再就職先で6ヶ月間に支払われた賃金の1日分の金額が、雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額に比べて低下している場合に受け取れる給付です。

この就業促進定着手当の支給額の計算方法は、(離職前の賃金日額-再就職手当の支給を受けた再就職の日から6か月間に支払われた賃金額の1日分の額)×再就職の日から6か月間内における賃金の支払いの基礎となった日数(通常月給制の場合は暦日数、日給月給制の場合はその基礎となる日数、日給制や時給制の場合は労働の日数)となっています。(上限あり)

いつもらえるのかというと、支給が決定されてから7日以内だそうです。

就業促進定着手当の支給条件

1.再就職手当の支給を受けていること
2.再就職手当の支給を受けた再就職sいた日から、同じ事業主に6ヶ月以上雇用保険の被保険者として雇用されていること
3.所定の算出方法による再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること
(ハローワークより)


詳しくはこちら再就職手当を受給した皆さんへというハローワークのページにて解説があります。

(2)就業手当

(2)就業手当とは、基本手当の受給資格がある人が、再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合に基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり一定の要件に該当する場合に支給されます。(ハローワークより)

つまり、臨時的なアルバイトなど非常用型(雇用保険に加入しないような週20時間未満の仕事など)の仕事に再就職した時に支給されるものです。

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正社員での良い求人案件に出会うことができないことや、家庭等の状況でフルタイムの勤務が難しいこともあるでしょう。

アルバイトやパートへ再就職する場合は、再就職手当ではなく、就業手当を支給してもらえる可能性があります。

支給される金額は、就業日×30%×基本手当日額(一定の上限あり)となり、支給が決定すれば7日以内に支給されます。

再就職手当は、就業手当と何が違う?
就業手当の支給額は基本手当日額の3割にしかすぎませんので、最大約7割受け取れる再就職手当の方が受給者の生活支援には大いに役立つということになります。

また、再就職手当では、平成28年8月1日から平成29年7月31日までの60歳以上65歳未満の上限が4707円なのに対して、就業手当の上限は1741円で、再就職手当と就業手当ではその額が大きく異なります。

アルバイトやパートなどの勤務形態についても一定程度保証されていますが、制度上は正社員としての勤務が求められているといえるでしょう。

(3)常用就職支度手当

(3)常用就職支度手当とは、基本手当の受給資格がある方(基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満である方に限ります。)、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者のうち、障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に、一定の要件に該当すると支給されるものです。(ハローワークより)

支給額は、90(基本手当の支給残日数が90日未満である場合には、支給残日数に相当する数(その数が45を下回る場合は45))×40%×基本手当日額となっています。

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突然仕事を失ってしまうと途方に暮れてしまうかもしれません。

しかし、それでも前に踏み出そうとしている方のために再就職手当などの制度が用意されていますので、条件に当てはまる人はしっかりと活用するといいでしょう。

何か疑問点がある場合には、ハローワークの給付窓口で相談してみるといいですよ♪

失業手当がもらえる間に再就職するのは損なのか?

失業給付金(失業手当)は、当然ながら再び働き始めたらもらえなくなってしまうお金です。

やはり人間誰もが、「もらえるお金があるならもらってから再就職したほうがいいはず」と思ってしまうもので、わざと就職を先延ばしにしたり、気になる求人があってもまだ就職するのは…と応募しなかったりする人もいるかもしれません。

確かに失業手当がもらえるうちに再就職してしまうと、残りの日数分の失業手当がもらえなくなって損のように思えるかもしれませんが、だからと言って失業中に自分の希望に近い求人があるにも関わらず就職を先延ばしにしたりするのは絶対にやめましょう

というのも、自分にとって希望条件に近い求人や理想の求人というのは、いつでも出会えるものではありません。

また、条件の良い求人であればあるほど、応募も多く早く採用者が決定しまうことにもなり、「失業手当をもらった後に応募すればいいか」と思っていると、そのタイミングで良い求人が出ているとは限らないからです。

転職の女神 長女 転職の女神 長女

優先しなければならないのは、一時的にしかすぎない失業手当をもらうことではなく、もう転職しなくても済むような”理想的な仕事”に就くことです。

これは、お金にも何にも変えられないのではないでしょうか。

失業手当をめいっぱいもらおうと、再就職を遅らせるようなことをしていると、失業手当がもらえなくなるタイミングで自分の希望条件に合う求人が見つからない場合、「全然魅力的な仕事はないけど…失業保険はもうもらえなくなって収入もないから、とりあえず何か適当にでも就職しておいたほうがいいか…」と安易な気持ちで再就職してしまい、またすぐに退職してしまう可能性だってあります。

それは、結果的には自分にとって不利益なことになりますよね。

失業手当をより多くもらうことではなく、本当に自分にとって優先しなければいけないのはどんなことなのかを考えてみてみましょう。