就活や転職活動の面接で、面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか?」という逆質問。
「何か聞きたいことはありますか?」と聞かれると、とっさに良い質問が思い浮かばず「特にありません」とか「何もないです」と答えてしまったり、「えーっと…」と黙り込んでしまったりする人もいます。
「給料って…」や「残業って…」など、本来ならNGの質問をしてしまったりした方もいるかもしれません。
質問があるかと聞かれて、それをただ単に「わからないことがあれば聞いてください」程度にしか思っていないと、せっかくのアピールチャンスが無駄になってしまう可能性があります。
実は、この最後の逆質問によって、面接官からの印象を大きく変えることもできます。
そこで、面接官が逆質問を受け付ける理由や質問の意図、どのように対処すれば面接官から好印象を得られるのか、自己アピールにつなげる質問例、聞かないほうがいいNG質問例について解説していきます。
目次
「逆質問」をすることで面接官はどこを見ているのか?
面接官は、面接での質問の受け答えから、その企業にマッチする人物であるか、その企業に興味関心をもっているか、優秀な人物なのかを知ろうとしています。
しかし、面接では面接官から質問されるだけではなく、面接官から応募者に「最後に何か質問はありますか?」や「弊社について何か質問はありますか?」、「何か聞きたいことはありますか?」などと逆に質問されることがあります。
これを『逆質問』と言い、面接官になにか不明点を聞けるというだけではなく、あなたのことをどんな人か判断する意図があって逆質問をされているのです。
では、逆質問をすることで面接官はどこをチェックしているのでしょうか?
面接官が逆質問をする理由は、次の3つです。
(1)応募者の志望度・熱意を確かめる
就活の人も転職活動中の人も、面接を受ける予定をしているのは1社だけではなく、何社もあるという人が多いでしょう。
そこで、面接官はあなたが自社へどれくらいの気持ちで志望しているのかという入社意欲や志望度をはじめ、熱意、意欲を確認しようするために逆質問を行います。
本当に入社したいと思っている人ならば、事前に応募先企業について下調べをし、さまざまな部分に興味・関心を持ったりして、自然ともっと聞きたいことが出てくるはずだと思われています。
下調べをしても特になにも感じたことがないならば、”聞きたいことがない=それほど興味がない企業=入社意欲が低い”という印象を持たれてしまうことになります。
逆質問をすることで、”自社に興味を持ってくれている人=入社意欲が高い人”ということになり、面接官も興味を持ってくれます。
(2)コミュニケーション能力を確かめる
2つ目は、応募者のコミュニケーションスキルを確認するためです。
面接中は面接官から面接をされるのがほとんどで、自分から発言するというのは逆質問以外にはありませんよね。
そのタイミングで、ある程度その場の状況を考えた上で自分の聞きたいことをまとめて質問をするかというのは、その人のコミュニケーションスキルや状況判断力、面接の理解力などがチェックされます。
(3)企業の社風と人間性とのマッチを確かめる
逆質問は、面接中にほとんどない応募者から面接官に質問をする場です。
そこでどんな質問をするかによって、面接官はその人がどんなことを重視し、どんなことを優先的に考え、何を企業に求めるのかを知ろうとしています。
「仕事内容について」や「自社について」などと制限がされてない場合は特に、自由に質問をすることができるため、性格や人間性が出やすい場面となります。
いくつも質問できるわけではないですから、おのずと最も聞きたい質問をしてくるものと取られているので、企業の社風や求める人物像とマッチしているかが確認されます。
逆質問でしっかりと質問出来る人は、何か疑問点が生じたときに素直に質問できる人だと判断されますし、面接官は価値のある質問をできる人か否かもみています。

このように逆質問は、「なんでも聞いてね」といった意味のないフリータイムでもなく、意図があって受け付けられているものです。
そこまでの面接でいくら印象が良かったとしても、逆質問がうまくいかないと、面接官にガッカリされてしまう可能性もあります。
つまり、企業に関してさほど興味をもっていないのではないかと誤解を生じさせてしまいかねない、「特にありません」や「大丈夫です」という回答はもってのほかです。
「何も思い付かない…」、「いい質問が思い浮かばない…」と思っても、何も質問しないのは絶対にNGです。
先程解説したように、質問しない=企業に興味が薄い、志望意欲が低いと思われてしまいます。
そうなってしまわないためにも、逆質問の場では必ず質問をするように頑張りましょう。
面接官に印象のいい逆質問のコツとポイントは?
面接官が逆質問をする理由がわかれば、おのずと逆質問をすることで得られるメリットも見えてきます。
逆質問の時間は、就職・転職前に企業に対する疑問点をなくしてもらおうという好意と同時に、志願者が最後に企業への熱意を伝えるチャンスでもあります。
誰もが面接では少なからず緊張してしまうものであり、面接を受けながらその場で逆質問を考えようとしても、なかなか頭が働かず、良い質問は浮かばないでしょう。
好印象を与える質問は、企業のことを深く研究してこそ導けるものなので、あらかじめ「こんな質問をしようかな」という逆質問のパターンを、事前にいくつか考えて準備しておくことが、逆質問で失敗しない最も大切なポイントとなります。
まずは、逆質問のポイントを紹介していきます。
可能であれば面接官によって質問内容を変えるのがベターです。
たとえば、面接官が男性ばかりの状況で「貴社で女性が働くにあたって課題となることは何かありますか?」と尋ねると、面接官は困ってしまうかもしれません。
そのほか面接官の勤務する部署や役職、経験などによって答えられる範囲が異なりうるので、なるべく面接官の状況や面接で感じ取った印象に応じて質問内容を変えてください。
このため、面接の前に最低5問は質問を考えておきましょう。
もし考えていた質問について面接の途中で面接官から説明された場合には、その質問は必ず候補から外します。
重複した質問をしてしまうと、説明を聞いていなかったのではないかと悪印象を与えてしまいかねません。

質問を考えるときには、「はい」「いいえ」で回答できる質問(クローズドクエスチョン)を避けましょう。
面接官によっては志願者の質問の意図を推し量って丁寧に回答してくれることもありますが、そうでない場合には1分も経たないうちに質疑応答の時間が終わってしまいます。
何を、どのように、なぜ、など5W1Hを意識して質問を考えると良いでしょう!
面接官に好印象を与える、逆質問の具体例

面接で質問できるのは多くて2問です。
このため、1問の質問が非常に重要な意味を持ちます。
意欲・志望度をアピールする質問、長所・スキルに関する質問、相性の良さを確かめる質問をそれぞれ考えておき、面接において不十分だったと感じる点に関する質問をしましょう!
- 意欲・志望度を示す質問とは、転職先の企業や仕事について高い関心を寄せていることをアピールする質問です。
たとえば「御社は○○○の分野に注力されているかと思います。私は前職で○○○に励んできたのですが、その他何か必要なスキルなどはありますか?」のように、自身の強みを企業で活かす方法について質問すると良いでしょう。
そのほか、「1日の具体的な業務の流れについて教えてください」という入社後をイメージする質問も良いですね。
「御社の○○○の商品は他社と比べても優れていると思いますが、企画発案段階ではどういったことに注意されたのでしょうか?」など商品やサービスに関する質問も有効です。
注意すべきなのは、内定をもらえて当たり前といった姿勢で質問しないことです。
- 長所・スキルに関する質問とは、より積極的に自己PRをするための質問です。
ただし、露骨に自慢話をしてしまうと嫌がられてしまうので、あくまでもさりげなく自分の経験を挟みます。
たとえば「私は○○○の資格を有しているのですが、それを御社で活かすためにはどのような点をさらに磨けばよろしいでしょうか?」となります。
そのほか、「ぜひ○○○の経験を活かしたいのですが、お役に立てる分野はございますか?」も良いでしょう。
- 相性の良さを確かめる質問をする目的は、他の2つと違って、その企業で働くことが自分にとって意義のあることなのかを見極めることです。
たとえば企業における評価方針や面接官自身の経験・意見などを自分の興味・キャリアプランに応じて尋ねてみると良いでしょう。
避けるべきNG逆質問とは?残業や給与などは聞かないほうがいい?

好ましい質問があるように、避けるべき質問もあります。
先ほど挙げた男性社員に女性社員の悩みを聞く質問のように面接官の立場に沿わない質問は避けるべきです。
また、企業理念や商品などホームページや求人情報をみればわかる質問もNGです。
ではわかりやすくポイントを押さえてみましょう。
(1)調べればわかることは聞かない
逆質問の最も基礎的なマナーとなりますが、自分で事前に調べればわかるような質問はしないようにしましょう。
例えば、「従業員数は何名ですか?」や「取引先企業はどこですか?」、「どんな商品を扱っているんですか?」、「年間休日はどれくらいありますか?」など、企業の公式HPや求人票に載っているようなことは聞かないほうがいいでしょう。
調べればわかることを聞いてしまうと、面接官に「下調べをしっかりしていない人だ」とか、「準備が甘い人だ」、「情報を見逃しやすい人だ」などと思われてしまいます。
逆質問したほうがいいからと言っても、わざわざ聞く価値がないような質問は避けましょう。
(2)面接官がすでに話したことを再度質問しない
面接中に面接官がすでに話したことを、逆質問で再度質問してしまうと、「人の話をしっかり聞いていない人」だという印象になってしまいます。
事前に準備した逆質問が1つや2つしかないと、もし逆質問をする前にそれらについて面接官側から話があった場合、聞けることがなくなってしまうので、逆質問は複数個用意しておくとこうした事態を回避できます。
(3)給与や残業、休日など待遇面ばかり聞かない
せっかくの逆質問の場で、企業や仕事内容についてではなく、「残業はかなり多いですか?」とか「有給は取りやすいですか?」など、給料や待遇面などの質問をしてしまうと、「それしか頭にない人」だと思われてしまいます。
こうした福利厚生は企業のホームページや求人案件で知ることのできる場合もありますが、勤務する以上福利厚生に関心を寄せるのは自然なことです。
ホームページなどでわからなかった場合には、最も興味のある点についてさりげなく尋ねてみると良いでしょう。
そのほか、学生の就活生に多い失敗例が「勉強させてください」という気持ちを率直に伝えてしまうものです。
たとえば「勉強できる環境ですか?」「どのような研修を受けられますか?」といった質問は企業への依存心を示してしまうので避けた方が良いでしょう。
社会人経験のある方でも異業種への転職は不安になってしまいます。
このため「御社では未経験の方も十分働けると聞いていますが、どのようなサポートをしていただけるのでしょうか?」といった質問をしたかったとしても、面接ではすべきではありません。
自分でなんとかするくらいの意気で臨み、実際に勤務してから同じように未経験者だった方からアドバイスを受けると良いでしょう。
また、「御社は離職率が他と比べて高いようですが、どういった理由で退職していくのでしょうか?」のようにその企業のいわば“弱み”に関する質問も避けた方が良いでしょう。

面接ではコミュニケーションスキルも審査されていますので、面接官を困らせてしまうような質問はご法度といえるでしょう。
ここでご紹介した良い質問例や悪い質問例を参考に、好印象を与える質問をいくつかリストアップしてみてください!